キャリア開発や就職活動支援の実務の中で、多くの人は働くことについて条件面に意識が向いていることを感じます。
働く理由が経済的な報酬だけであれば、就職活動にしても、転職活動にしても、迷わずに判断しやすいかもしれません。
しかし、人が働く理由は、本当にそれだけでしょうか。
キャリアの理論の中でも有名で最も包括的なものは、ドナルド・E・スーパーの理論です。
スーパーは、後年、国際的な「仕事の重要性研究」を指揮しました。
この研究の目的は、人が働くことを通じて得たいと思う様々な価値観が、文化によって異なるかどうかを確認することでした。
この研究で特定されたのは、14の働く価値観です。
この研究を進めていくうちにわかったことは、働くことで見出せなかった価値観も、他の人生の役割を果たしていくうちに、その大切さに気づくことができるというものです。
例えば、「人の役に立てること」が大切という価値観は、人をサポートする仕事でも実現できるし、地域の活動やボランティア活動などを通じても満たすことができます。
また、人は自分が大切にしている価値観を人生の役割の中で達成しようとしますので、「成果を認めてもらえること」を重視しているケースでは、正当な評価を求めて転職活動をしようとした場合、何かのきっかけで上司とのコミュニケーションが良くなることで、わざわざ転職をしなくても、もしかしたら今の職場で満たされるということもあるわけです。
満足度の高い働き方のためには、①やりたい②できる③大切にしたい――ことのバランスが取れていることが大切です。
そして、これまでの経験を活かすことができれば、あなたの仕事や活動は加速します。
働くことを通じて自分が大切にしたいことや、何のために働くのか目的に気づくことは、これからイキイキと活躍するための原動力になります。
「何を大切に働きますか?」
ライフキャリアカウンセラー
折山 旭